日南1号は興津早生の枝変わりとして1978年に宮崎県日南市の野田明夫氏によって発見され平成元年に品種登録、上野早生は宮川早生の枝変わりとして1970年に佐賀県東松浦郡浜玉町(現唐津市)の上野壽彦氏によって発見され、昭和60年に品種登録されました。糖度が比較的高く食味が濃厚で味ボケせず、浮皮の発生が少ないです。10月下旬までの出荷でその短い期間にしか味わえない一品です。
宮川早生、大正初期に福岡県山門郡城内村(現柳川市)の宮川謙吉氏邸に植栽されていた在来品種から発生した枝変りを1925年(大正14年)に田中長三郎博士によって発表されました。育てやすく収量性が良いなど優れた特徴を持つため古くから全国的に広く栽培される様になりました。現在でも早生温州の代表的な品種で、ハウス栽培用としても広く用いられています。肥後早生、静岡果樹試験場の元場長、田中諭一郎博士が戦後まもなく宮川早生にパーソンブラウン(オレンジ)を交配育成された品種です。果実は、皮が薄く糖の乗りがよく、減酸もやや早く食味は大変優れています。
福岡県糸島郡二丈町の石井徳雄氏が自宅の庭に日向夏の種を捨てた後から生えてきたのを見つけ、この穂木をとって温州みかんに高接ぎし結実した品種です。果実を調べると日向夏とは異なっていたため、特性調査を継続して種苗法に基づく登録申請を行い、平成8年10月に「はるか」として登録されました。
レモンのような色をしていますがキツイ酸味はなく、糖度は11度ほどで甘さと香りが高い品種です。ほかのみかんには無いさわやかな味わいが楽しめます。
昭和54年に農水省果樹試カンキツ部において、清見にポンカンF-2432を交配して育成された品種です。果実は扁球型で果皮は橙色。表面はとても滑らかな手触りです。手で皮が剥け、内袋ごと食べられます。糖度が高く交配によりポンカンの匂いが楽しめます。
日本で生産される柑橘類では、ウンシュウミカンに次ぐ生産量の多い果物です。名前は育ちの地である伊予国(愛媛県の旧令制国名)にちなんでつけられました。ミカンとオレンジの交雑種とされていますが正確な起源は不明です。爽やかな酸味と甘酸っぱさ、そして果汁の多さはほかのみかんには無いものです。
甘夏柑は、ナツミカンの枝変わり種。甘夏橙、甘夏蜜柑(甘夏みかん)甘夏などとも呼ばれています。ナツミカンに比べて熟成させると減酸が早く糖度がとても高いのが人気です。 毎年、ジュースなどの加工原料として使用され、春先に食べると甘酸っぱくさわやかな味がします。
ハッサクはミカン科で柑橘類のひとつ。果実は夏みかんに似ていますがやや小さく皮が薄い。ハッサク(八朔)とは、旧暦の8月1日を指す言葉です。毎年その時期から食べられるようになることからこの名が付けられました。ほとんどは生食用として利用されています。これは苦味成分が加工によって熱を加えると苦味が増加するからです。
昭和55年頃、温室内を暖房することで露地栽培では5月であった開花期を約1か月早め、収穫を約1か月程度早めることに成功した品種です。それ以降、技術が進み4月~8月に出荷ができる温室みかんが栽培されています。生育は日照に左右されるが温度管理や水分コントロールにより甘くて美味しいみかんを収穫することが可能になりました。甘さはみかんで一番、それに加え味の濃さとジューシーさも豊富です。食べる直前に冷やすとより一層美味しい味わいになります。
愛媛県農林水産研究所果樹研究センターが「南香」を種子親に用い、「天草」の花粉を交配し育成した品種で、平成17年3月に品種登録されました。貴婦人(マドンナ)のように綺麗な果実です。果実は250g程度で、糖度は12度を越える甘い品種でテレビでも特選品として登場するほど。収穫時期も短く、値段も若干高めですが果物好きの方なら一度は味わってもらいたい一品です。
昭和59年に、(独)果樹試験場カンキツ部口之津で、中間母本の(清見×アンコール)とマーコットと言う品種を交配し育成されました。アンコールとマーコットは生産量が少なく、とても貴重な品種なのでこの3種が加わった品種はとても貴重です。果実の大きさは200g程度で比較的大玉です。果面は滑らかで美しく、外皮も薄く、果汁がいっぱいつまっています。清見・アンコール・マーコットこの3種の中のそれぞれの良いところを引き抜いたとても贅沢な品種です。
昭和29年に「キング」と地中海マンダリンを交配し育成して誕生しました。日本には昭和44年頃に導入されました。この品種は温度管理が難しく、雨や風の被害を受けやすいためすべてハウスで栽培されています。そのため普及も少なく、百貨店や専門店の取扱いがほとんどです。貴重な一品ですが一度口にすると印象的な味と香りに納得間違いなしです。
昭和47年に(独)果樹研究所カンキツ部口之津で「清見」と「ダンゴール」と「中野3号ポンカン」を交配して誕生しました。果実の凸が特徴で果皮は剥皮しやすく、じょうのうも薄く袋のまま食することができ、種はほとんどありません。ハウスで4月まで樹上に成らしておくことでクエン酸が下がり、糖度が高まり、いわゆる完熟果実として熟成されます。
愛媛県農林水産研究所果樹研究センターが「西之香」と「不知火(デコポン) 」を交配して育成した品種で平成19年8月に品種登録されました。果実は250g程度で温州みかんのように扁平で歪な形をしているものが多いです。外皮が薄いので剥く時に注意が必要です。酸味が少ないので甘さが際立ちます。